ソウルメイト独り言

バンド鶴がとても好き

【MUSICSHELF】brainchild’sインタビュー/2012年12月

MUSICSHELF掲載

 

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MUSICSHELFでの好きな記事でしたが2018年3月31日にサイトが閉鎖されてしまいました。もったいないのでここに掲載させてもらおうと思います。
http://musicshelf.jp/

 

 

 2012.12.07公開

 

--今年、イエローモンキーが20周年なんですよね。

そう、いろいろ駆り出されてるんですけどね(笑)。この間のリリース・パーティー("THE YELLOW MONKEY 「Romantist Taste 2012 Release Party」")には、まさに駆り出された形になってしまって。遊びに行っただけなんですけど(笑)。ヒーセはね、シークレットで出るって決まってたから、だからヒーセのところに遊びに行ったつもりで、楽屋で一緒にいたら、そこに大谷くん(ダイノジ)が打ち合わせに来て。そのときに、『出ますか?』じゃなくて『出るんですよね』って十回くらい言われて、『あ、出るのかな?』『出なきゃいけないのかな?』って思い込まされました(笑)。まあまあ、せっかくだからね、あの場にいた人に、ちょっとでもね、楽しんでもらえたらいいかなと思って。

--改めてエマさんにとってイエローモンキーの20周年というのは。

イエローモンキーのDVDとかの作業をメンバー4人で集まってやったりしてるんですけど、家で映像チェックしたり、音をチェックしたりしてると、その当時の自分たちと、今の自分たちと、本質自体に限っては、全然変わってないなと思って。確かにね、見た目は違う人間になってますけど(笑)、音楽的なところでは変わってない、『今でもあの音は出せるしなあ』と思ったり、そういうとこはありますね。逆に、もう忘れかけてたことを思い出すことも、いっぱいあったしね。そう考えると、自分にとってもすごいプラスになってるなって思いますよね。

--なるほど。

当時のあの空間をまた再パッケージして、今の世の中にイエローモンキーを落っことす、っていうことをやりたかったんだけど、最近思うのは、解散ってこと自体、バンドがなくなっちゃうってことではないんだなって。音自体も、あの空間自体も自分の中ではまったく変わってないですから。やっぱりウチらの仕事って、作品を作ったら、それはもうずっと世に残ってて、みんなのものになるじゃないですか、聴いてる人のものに。だからそう考えると、その解散云々って、そんなに重要じゃないのかなと思う。もちろんね、ライヴがないとか、そういうのはありますけど、残ってる作品がある限りは、ずーっと命があるような感じがするんですよね。

--いい話ですね。ということで、今のエマさんの活動の中心にあるbrainchild'sの新作についてお話を伺いたいと思います。前作『PANGEA』以降、ライヴDVD『brainchild's Electric na tei de TIPP11』、ミニアルバム『Human6』のリリースがあり、その間にはツアーもあったりと、brainchild'sとしてかなり精力的に動いた1年でしたよね。

そうね、アコースティック・ライヴとかも含めると、割といろいろありましたね。レコーディングでもツアーでも、そのときのモードにガッと集中はするんですけど、この流れの中で常に制作はしてるし、忙しいとか、そういう感じはあまりしないですね。肌で感じてるbrainchild's感っていうのは、日々、日常の中から生まれてきてるものなので。

--アルバムやツアーのタイミングは、最初からあまり厳密に計画しないほうですか。

もちろん、アルバム出したらツアーはやりたいんですけど、ただその時の空気に、時の流れに任せてるところが大きいですね。結局、最終的には追われていつも終わるんですけど(笑)、確かに追い込まれたとき独特のアドレナリンが出るのは確かですよね。でもそれは、あらかじめ世界観がわかってるからできることであって、もし、何もないところから始めてしまうとその追われたときの形が残っちゃう感じがするから、怖いっていうのはある。まだ自分はそういうシチュエーションにはなってないから、大丈夫なのかな。性格的なものもあるかもしれないけど。

--じっくり作品と向き合うことができるというのは、ミュージシャンとして理想的ですよね。

うん。たとえばジャケットをね、考えるのが好きだったりとか、そういうところも含めて、その時のモードっていうかね、気持ちを込めたいって思っちゃうタイプなので。元々、アナログ盤世代だから、ジャケットがあって、ちゃんとレコードになってて、それも含めて作品、と思ってたけど、今はまったく状況が違いますからね。自分からすると、ひとつの作品に関しての重みがなくなったかな、とは思います。もちろんダウンロードひとつで聴いてもらうってことの良さっていうのはありますけどね、やっぱり無駄がないですから。でも自分としては、本当は全部見てほしいから、たとえばiPhoneに映る小さいジャケットでも、気持ちが伝えられるものができれば、とは思いますね。

--アルバムというくらいですからね。そのジャケットですが、今回は綺麗な青、そしてアルバムタイトルと、タイトル曲に相応しい絵になっていますね。

うん。『曲がりくねっていても Go!』ってヤツですね。でも、実はノリで撮った写真なんですよ。撮影はレコーディングスタジオだったんですけど、最初は普通に立って、ポーズとかとってたんだけど、自分でもずっと『なんか違うなあ』と思ってて。それで、撮影の最後のほうになって、思いつきでやってみようと思ったんですよ。あれ、エフェクターボードを持って走ってる図・・・まあ、走ってはいないんだけど(笑)、普通だったらギターケースなんだろうけど、でもギターケースは前のジャケットで使っちゃった(笑)。

--(笑)。

というのもあるし、前回はちょっと探りながら、探検してる感じだったけど、今回は、やってることがパキッとしてるから、中身はエフェクターボードでもなんでもいいんだっていうように捉えて。抱えるもの、持っていくものは人それぞれだし、ギターに固定しない方がいいのかなと思ったんですよね。初めはね、『こんなのどうだ!』って言ってふざけて撮ってたんですけど、そのラフを見たら、『これ、アルバムのイメージにすごい合ってる』と思って、自分の中でね。それでそのまま撮影を進めてもらって、この写真になったんですよ。だから思いつきといえば思いつきなんですけど、多分、それは直感だったのかもしれないと思いましたね。音楽もそうですけど、意外に頭でっかちになっていい部分と、そうじゃない部分ってやっぱりあるからね。

--何か違う、何か違うと思いながら、最後は直感を信じるっていうのはエマさんらしいですね。

そうそう。今回、レコーディングスタジオで、自分の音が鳴っている脇で撮影してもらったのがよかったのかもしれない。普通にフォトスタジオで撮ってたら、そこまでパッといかなかったかもしれないなと思いました。たとえば曲を作った瞬間に歌詞がポッと出てきちゃうことってあるんですけど、それと似たような撮影だった気がします。

--『PANGEA』を作った頃にはもう、今回のアルバムの構想はあったんですか。

うん、なんとなくはありましたね。

--アルバムタイトルでもある「Major Code」という曲が、まず核に。

そうですね、この曲自体は、結構昔から自分のストックの中にあったんですけど、でもbrainchild'sを始めた頃には、ちょっとbrainchild'sとは遠い世界かなと思って、しまっておいたんですよ。で、『PANGEA』作って、ツアーやって、そのときに初めて、次はちょっと生身の直球的なものを作品にしたいなって思い始めて。

--『パキッとしたもの』ですね。

そうそう。それで昔からストックしてるこの曲聴いて、『何も考えずに作ってた頃の曲だなあ』と思って。『今だからこういう曲、書かなきゃ』とか、そういう時に作った曲じゃなくてね、無心で作ったというか、自分がやりたい曲を勢いで作っちゃった、みたいな曲だったので、『あ、これ使いたい』と思って。

--確かにこれまでのbrainchild'sのイメージにはないタイプですよね。

ただ、この曲を作ったとき、詞はまだなかったんですよ。当時は直球で作った曲に乗せる詞というのが全然思いつかなくて、ちょっと敬遠してたところもあって。それが、なんというか、今だったらできるって思ったんですよ。それでハードディスクの中からこの曲をもってきて、広げて聴いたときに、『こんなに明るいメジャーコードの曲でも、別に楽しい歌詞を乗せなくてもいいんだ』って思えたの(笑)。それは多分、その曲がもってるパワーとか、ストレートなイメージを残しつつ、言いたいことが言えるように、自分がなった、ってことなんだと思うんだけど。

--それは無意識のうちに。

うん、なってましたね。ちょっと様式美を大切にしたいときは、言いたいことに合わせた世界観をもってきたりするんだけど、そうじゃないのも全然アリだと思った。

--アルバムではこの曲に限らず、メジャーコードの曲=明るい歌詞、ということではないですよね。

そうなんです、前からちょっとやりたかったことではあって。たとえば童謡とかね、明るいメロディなのに内容がすごく暗かったりとか、その逆もあったりするでしょ?特に日本の童謡とか、メロディはすごく暗いのに内容はそれほど深いことを歌ってるわけではなかったりね。それに近いことをロック・スタイルでやってみたかった、っていうのもあるんですよね。

--最初はメロディの良さとか、グルーヴに任せて聴いていたのに、ある時、ハッとするような発見があるんですよ。

詞を書くときにね、シチュエーションをいくつか考えるんですよ。たまに限定したものも出てきますけど、ほとんどの曲はトリプル・ミーニングくらいあるんです。やっぱり、聴いてる人に考えてもらいたいところがあるから、聴いてる人の想像力を信頼して書いてるっていうのもあるしね。

--アルバムを聴いて、すごくレンジが広がったなと思ったんですが、出来上がったものを聴いたエマさん自身の率直な感想はどんなものでしたか。

そうだな・・・『PANGEA』は震災の衝動で作ったところも大きかったから、アルバムが出来たときに、ひとつ何か落ちたかなあ、何か落とせたかなあっていう、そういう達成感みたいなものがあったんですよ。でも今回は達成感というより、このアルバムを出した後、というかね、これからかなって感じがちょっとしてて。この先にヴィジョンがある、というのかな、一過程な感じがします、自分にとっては。

--はい。

今ね、幸いにもバンドメンバーにも恵まれているので、すごく想像しやすいんですよ、先のことが。『PANGEA』のときは、それからのライヴに対してまた一から作ってった感じがあるんですけど、『Major Code』は、ツアーも含めて考えてしまってもいいかなあって思ってるくらい。アルバム出してツアーやるっていうサイクルの中の、ひとつの駒ができた感じがしますね。その上で、もちろん今の自分のモードも投影できてるし、いわばその時の自分のパッケージっていうのかな、写真のアルバム、あのイメージに近い。

--なるほど。今のbrainchild'sのモードはバンドによるところが大きいと。

そうですね。今回のアルバムは、一緒にツアーを廻ったミュージシャンたちと作り上げたし、そこは大きいですね。それはサウンドにも表れていると思うし。

--もはや、エマさんとバックバンド、ではなく、brainchild'sというバンドという印象があります。そのバンドのフロントマンとしてのエマさんの存在感は言わずもがな、ですが。

あ、それはどうなんだろう(笑)。いや、でもね、ホントはアオレンジャーがいいんですけどね・・・でもそれは・・・仕方ないか(笑)

--(笑)自分のプロジェクトなのに、それでもアオレンジャーがいいですか。

・・・憧れはやっぱりあるんです。あのね、充実感はあるんですけどね、真ん中でやってるっていう。

--アカレンジャーとしての。

まあ・・・(笑)。というか、もちろん自分がメインなのは間違いないし、自分が歌ってる曲が圧倒的に多いんですけど、たとえば今回のようにKeita(The Newest)がメインで歌ってる曲や、大迫(章弘)くんが半分歌ってる曲があったり、そういうミックスした感じがすごく好きなんですよ。自分で書いた曲を、自分で書いた詞を、自分で歌うのは大切なことだと思ってたし、今もそう思うけど、そういう気持ちだけじゃなくなってきてて。作る側、歌う側がしっかりしてれば、フロント云々っていう、そこに囚われなくてもいいんじゃないかって思い始めてるんですよ。

--それは1stを作ったときの感覚とは異なるものですか。

そうそう、最初のね、他のアーティストとコラボしてみたいっていうのとは違う感覚ですね。いろんな要素がガシッと重なったときに面白いものができたらっていう、そういうのではなくて、骨組みから一緒に作っていくってことですよね。そこがしっかりできていれば、どんなことだって表現できるだろうって。

--なるほど。そうすると、ソロで歌う曲、コラボレーションする曲という、その振り分けも直感によるものが大きいんでしょうか。

そうですね・・・なんだろう・・・閃きに近いかもしれないですね。今回、大迫くんと初めて一緒にやってるんですけど、当初は彼に歌ってもらう予定はなかったんですよ、あくまでギタリストとしてツアーに参加してもらうつもりだった。そのとき、e-sound speakerっていう彼のバンドの楽曲を聴かせてもらったりしたんだけど、その大迫くんの歌を聴いてね、『あ、彼の声に合う曲がある』って思って。『ああ、この声、好きだな』って。彼に歌ってもらいたいなって自然に思ったんですよ。それで「ウミネコ」って曲を、急遽歌ってもらうことになって。

--Keitaさんや秋野さんとは違った魅力のある、エマさんの声に溶ける声をしていますよね、大迫さんって。

そうなんだよね。レコーディングのときの、何も装飾してない音で聴いたときは、『これ、どっちの声なんだろう?俺なのか?大迫くんなのか?』ってね、聴き分けができなかったくらい。『この溶け合い具合はすごいな』と思って。それは感動しましたね。彼がスタジオに来て歌い始めたときの、あの衝撃は忘れられなかったですね。あそこで彼に歌ってもらおうと思った、あの直感は間違ってなかったんだって。表現の仕方っていうかね、俺が作った曲でも、自分の世界観を表現できるんであれば、他の人が歌っても、それはアリだなと、さらにそういう思いが強くなったんですよね。

--なるほど。

Keitaの場合は、最初からKeitaに歌ってもらうつもりで、詞の内容とかメロディの節回しとか作ったりしてるんですよ。それで今回、Keitaには、彼が自分のソロアルバムをレコーディングするように、自分でやりたいように録ってねって言って、任せちゃったんです。それにKeitaが応えて、俺の想像通りの世界を表現してくれた。それもすごいことだと思うんですよね。

--新しいプロデュースの形というか。

うん。音楽的に幅が広がってきてるっていうか、レンジが広がった感じがするっていうのは、そういう溶け合い方ができたからこそだと思うんですよね。もちろん自分のプロジェクトではあるんですけど、一概にただの自分のプロジェクトというよりは、そこに参加してくれてるってことだけじゃなくて、そこで互いに広がりができてるっていうのが、今回は大きいのかもしれないですね。融合して、引き延ばして、大きく見せるっていうことが初めてできたんじゃないかなと思う。

--新たな第一歩を踏み出した作品という印象ですが、とはいえ、前作との共通項としてあるのが、やはり震災で。『PANGEA』が、その衝動で出来たものだとするなら、今回は震災以降のことがモチベーションとなっている曲も多いですね。

そうですね。「ウミネコ」とか、「遠く…」とかは、震災の流れを汲んでますね。「ウミネコ」は、『PANGEA』のときから母体はあって、「ウミネコ 舞遊ぶ」っていう言葉は、震災直後から浮かんでたんだけど、曲自体は寝かせておいたのね。それでアルバム制作に入ったんですけど、リリースは年末くらいだろうなってことになって、じゃあそれまで、ちょっと時間あるから、東北にツアーに行きたいんだよって話をしてね、この間やった東北の3本(brainchild's TOUR 2012 Electric na tei de NGO "Northeastern Guts Organization")が決まったんですけど。

--東北に行こうと思われたのは。

自分の思いの入った曲を、まずはそこの地で歌いたかったっていうのかな。それはもちろん自分のためでもあるし、そこでライヴをやれば、ね、みんなお金を落としてくれるじゃないですか。そういった普通の人間の自然な営みから、また流れが生まれる。前作の「Wanna Go Home」、今回の「ウミネコ」「遠く…」っていう3曲を、その流れでやりたかったんですよ。だから全国ツアーという規模ではなく、東北しか考えてなかったんですけど。

--きっと日本人の誰もがあの震災のことを忘れることはないと思いますが、エマさんの中で震災は、一年という年月を経ても、変わらず深く陰を落としているものなんでしょうか。

そうですね・・・なんだろうな・・・自分は元々、思いつきでプロジェクトをやってるし、曲も作ってるんだけど、その思いつきの中に、すごく大きな割合で(震災のことが)こびりついてるんですよ、元となるものとして。だからね、事あるごとにそのことを考えてしまうんですよ。もう、記憶というよりは・・・なんて言ったらいいかな、シミみたいにこびりついてる感じなんですよね。

--エマさんの頭にはいつも、生と死と、それから共存っていうのがあって。その中でも震災が、より具体的なものとして、強烈に存在してしまってるんでしょうね。

そう・・・うん、そうですね。すごい大きな災害でしたけど、やっぱり元は自然、それに対しての奢りがあっちゃいけないなと思うところもあるから。そういうとこも含めてね、頭から離れないんですよ。ただ被害のことだけを考えるというのではなく、震災がなければ考えもしなかったこともたくさんあるからね。本当に大変なことだぜって思う、たとえば原子力にしてもそうですけど。

--今回、歌われてますよね「Mayday Mayday Mayday ~存亡~」という曲で。

うん。『そういうことまでも操るなんて、思いあがってるね、ウチらは』って思うわけですよ。大丈夫だ、大丈夫だっていっても、ウチらはそれでいろんな恩恵を受けてますけど、だけどかなりのリスクだってことは間違いないじゃないですか。それは使う側も、普段から意識して使わないといけないし、それがいいのか悪いのか考えないといけないと思う。そういう気持ちがすごく強いんですよ。

--なるほど。

でも、だからといって、brainchild'sの曲聴いて暗くなるのはちょっと違うんですよ。やっぱり音楽は音楽なんで、サウンドがよかったり、曲がよかったら、自然に体を動かしてくれるものだから、それだけで十分だなと思って。もちろん詞を大切に読んでくれて、バッとその世界観を感じてくれるのも、もちろん嬉しい。それはすごく嬉しいですけど、なんかね、何気なしに聴いてたら『実はこうだったな』っていうのが、なんとなく肌に沁み込んでくるのでも、それでも全然いいと思うんですよね。特にこういう詞を書いてるとそう思う。

--レコーディングそのものはいかがでしたか。

もう、あの副音声(ライブDVD『brainchild's Electric na tei de TIPP11』の特典)の感じですよ。うるさいヤツはうるさい(笑)、あの調子。ドラムの早川くんと、ベースの(高岸)由真くんと、あと鶴のメンバーとはレコーディング前にもリハーサルに入って、そこでグルーヴ決めといて、それから録るって感じだったので、そのライヴ感、バンド感みたいなものは出てるかもしれないですね。自分ひとりで作ってる感じは少なかったです、やっぱり。あそこまでみんな賑やかに、っていったらおかしいけど、そういう雰囲気でやれるとは想像してなかったですね。やる前は、別に淡々とでもいいかなって思ってたんですけど、自分もそういう賑やかな雰囲気を望んでたところはあったから、嬉しかったですけどね。

--ライヴでは一体感をみせていても、ことレコーディングとなると勝手が違いますよね。エマさんはひとつひとつ細かく説明するタイプにはみえませんが。

そうね、でも詞の世界観を説明する曲もあるし、しない曲もあるかな。詞ができてる曲に関しては、個人個人が考えてくれるので、それは面白いですね。僕が思ってたのと違ってたりすると、またそれも面白くて。『違うんだよッ』みたいな(笑)。

--今回、あのメンバーとレコーディングに至ったのは、ツアーを一緒に回って得た確信があると思うんですね、それは技術的なこと以外にも。

なんだろうねえ・・・でも、それも偶然なのかもしれないですね。彼らが集まることによって生まれる空気感があるんだけど、それは最初から狙ったものではなかったしね。初めて一緒にやったメンバー同士だとは思えないというか、バンドとしてももちろんよかったし、その雰囲気は大迫くんが入っても変わらなかったからね。不思議な巡り合わせでこのメンバーが集まったんだろうなって気がします。僕と早川くんなんか、歳が20近く違う、世代が4つくらい違うんですけど、それでもやっていけるのは、彼のキャラクターもあるだろうし、早川くんに限らず、メンバーの人間的なものっていうのかな。それによるところは大きいですね。

--エマさんの表の顔、というのが彼らによってさらに引き出されているように思います。

ああ、そうだね。これはいい言葉なのかわからないんですけど、彼らがいることで安心感が生まれるっていったらいいかな。そこにはもちろん信頼関係というものがあって、それがサウンドにも大きく影響していると思うんですよ。反面、brainchild'sは、もちろん自分のプロジェクトではあるんだけど、ひとりひとりのミュージシャンの個性とか、音楽性は尊重したいから、割と自由にやってもらってるところもある。そこでのセッション感覚が、自然と実際の人間関係にも溶け込んでいるというかね、それらが不思議なくらいうまく合わさっている、ということなんだと思います。

--今回はbrainchild'sという名のバンド、って言っていいのかなと思いますが、今後はどうなっていくでしょうか。

そうだなあ、みんながやりたいって言えば、それはそれで存在するんじゃないかなと思いますけどね。ただbrainchild'sって、スタイル自体を固定化するつもりは最初からないんですよ。最初にやったコラボレーションだけの世界もbrainchild'sで描きたい世界ではあったし、ソロ作品に近い形になるのもbrainchild'sの世界のひとつだし、今回のようにバンドで構築するというのも、もちろんbrainchild'sでしかないんだけど、でも、それを常に流動的じゃなきゃいけないとも決めてないから。

--なるほど。

何か自分のアンテナに引っかかるものがあったら、そこに収まる可能性があるんですよね。それがbrainchild'sになってしまっても、自分は構わない。それは変わらないです。いろんな可能性を秘めたプロジェクトとして始めたものなので、そこはやっぱりbrain=脳みその産物ってものに結局は辿りつくわけですからね。

--はい。

でも、自分ではその時々で素直にやってるつもりなんだけど、自分で自分を掘り下げていくと『あ、違うのかな』って後々気付くことがあるんですよね。だから『そうだとは断言できない』という表現になっちゃうんでしょうね。それは自分でもよくわからないところではあるんですけど・・・だから次の作品はまたガラッと変わっちゃうかもしれない。もしかしたら次は弾き語りかもしれない。しかもピアノかもしれない・・・なんてね、ウソウソ(笑)。

 

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