ソウルメイト独り言

バンド鶴がとても好き

【MUSICSHELF】インタビュー/2009年9月

MUSICSHELF掲載

 

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MUSICSHELFでの好きな記事でしたが2018年3月31日にサイトが閉鎖されてしまいました。もったいないのでここに掲載させてもらおうと思います。
http://musicshelf.jp/

 

 

2009年4月 8日 13:00


楽しく、せつなく、情熱的に
その出で立ちも含めたパブリック・イメージ通りの「恋のゴング」で先制パンチを放った後は、"らしさ"と"意外性"を絶妙な配分でミックスさせながら、好曲を連発してきた3人組・鶴。トータル3作目、メジャー移籍後初となるアルバムがいよいよ出る。甘く苦く塩辛い恋愛と青春の機微を丁寧に描きながら、根底にあるロック・バンド魂と歌心を炸裂させたヴァリエーション豊かなポップ・ミュージックの妙味。揃いも揃ってユーモラスかつサービス精神旺盛なキャラクター以上に、「いい曲、いい歌、いい演奏」であることにストイックに向き合った真摯な作品でもある。真面目だけど真面目くさってない。はしゃいでいるようで決して踊らされない。そんなしたたかさも併せ持つ彼らの音楽は、いつまでも最新のスタンダードでありつづけることだろう。


--「浪漫CD」「素敵CD」ときてメジャー初作が「情熱CD」と。

秋野:ジャケットも単純に色違いで(笑)。特にメジャーだからという意識もなく、鶴のアルバムはこうじゃないかなあっていう、ただそれだけなんですけど。

笠井:揃えると見た目がキレイで気持ちいいっていう(笑)。

神田:メジャーがどうこうということよりも、「このシリーズで出したいんです!」って言い切った感じですね。

--(笑)。今回はなぜ"情熱"になったんでしょうか。

秋野:最初は安易な発想で、単純に"色"だったんですよ。「黄色、青ときたから次は赤かしら?」なんて思って。「じゃあ赤っていったらなんだろう?」って考えたときに"情熱"って言葉がパッと出てきて。入り口はそんなところなんですけど、意外とそのときそのときで自分たちの心境みたいなものと合ってたりするんですよね。『素敵』も『浪漫』もそうなんですけど、そのとき求めているもの、欲しているものが、自然とタイトルになっていくという。

--素敵、浪漫っていう言葉はこれまでの鶴のイメージ通りなんですけど、"情熱"って鶴にとっても新しいし、しかも今まで以上に強さを感じるんですよ。

秋野:「素敵、浪漫を追いかけていたあの頃を、より確実にするための根本的な熱が欲しかった」みたいなことですかね。昔は「これは素敵だ」「これはロマンチックだ」って曖昧にフラフラしてたところもあった気がするんですけど、その根底にあるものが熱なんじゃないかって。

神田:素敵とか浪漫って、言葉としてどこかぼんやりしてるというか、大まかなものじゃないですか。でも情熱ってもっとINなものだと思うんですよ。過去のものは過去のものとして越えられない部分もあるんですけど、だんだん内容も固まってきたというか、1曲1曲の持つ意味が強まってるし、1本筋が通ってきてる、クッキリしてきたってところもあるんですよね。

--1曲目の「熱量」という曲がまずそれを象徴してる気がします。

秋野:そうですね。ただ『情熱CD』というタイトルに相応しい曲を作ろうと思ったわけではなくて、うまいこと自然に出てきた曲ではあるんです。それが驚くことにリンクしていて、だったら1曲目はこれだろうと。

--すごくいい曲ですけど、でもこういう曲をどこかで封印してたところもあるのかなあと。やっぱり「ウキウキせつない」っていうところからは逸脱するものではあるし。

秋野:そうですね。昔からそういう気持ちがないわけではなかったんですけど、少しずつ真に迫ってきてる感じを出せるようになったと思うんですね。以前だったらそういうのを出すことに照れがあったんですけど、今はみんなが「そういうの出したほうがいいんじゃないか」って思うようになってきたので。それもある意味、鶴っぽいかなあと。その一方で今まで通りおバカな鶴でもあればいいかなあって。

--自然な流れに沿った結果の「熱量」であると。ただこういう新機軸を含め、初期からの曲あり、メジャー以降のシングル数曲もありで、まとめるのが大変だったでしょう?

秋野:大変でした!もう全部突っ込みたいくらいの気持ちと、シングルが多すぎるんじゃないかって気持ちと両方あるんですけど。でもやっぱり、そのときのベストとしてアルバムを出したいバンドなので、とりあえずこれまでの鶴のベストとしてこのアルバムが存在してくれればいいかなと思うんです。メジャー1年生のときのベストというかね。逆に考えれば、元々アルバムに収めるはずだった曲をチョコチョコとシングルとして出してきたっていう捉え方もできますし・・・あ、なんかそう思えたらスッキリしてきました(笑)。

--と言いつつアルバムから洩れた曲もあって、ちょっと残念だったりするんですけどね(笑)。

全員:そうなんですよー!

笠井:でも「知らない曲がシングルだけに入ってるんだ!」って知ったとき、すごく嬉しいものじゃないですか。そういう驚きをとっておくぞ!ということで、僕も納得しました。

--楽曲の基本はやっぱりラヴ・ソングですか。

秋野:それがいちばん自然なんですよね。自分たちはラヴ・ソングで育ってきたってこともありますし、自分たち自身がウキウキしたり悲しくなったりするのは、やっぱり恋だと思ってるので。逆に世界平和のことを歌うほうが無理。全然できないですね、ウチらは。

笠井:恋愛の歌って時代とか関係ないじゃないですか。いつの時代も恋愛って人生を左右するというか、ひょっとしたら人生でいちばん身近でいちばん大きな事件じゃないかと思ってるんですよ。

神田:どんなアーティストさんでも絶対に歌ってますからね。これはどうしようもないことなんです、きっと。王道だとかベタだとか、やり尽くしただとか、そういうことでもなく、「恋の歌がいちばん響くんだからやりますよ、そりゃあ」っていう気持ちですよね。

--頼もしい。

秋野:今の世の中、やっぱりネガティヴな歌が多いんですかね?ダークの中の光、みたいな?それは寂しいなあ。

--そう、誰しもがもつ気持ちを鶴は真っ当に歌にしてくれるので、ホッとします。

笠井:あ、僕らもそうなんじゃないかなって思ってました。

--(笑)。男の情けなさとかつよがりとか、男性なら絶対共感するはずですよ。ひょっとして3人ともタイプが似てる?

笠井:根本的なところで近い部分はありますよね。個体差とかDNAの差はあるにしろ。

--3人とも歌いたいことが同じっていうことはもとより、誰かひとりが突出することなく3人の向かう方向が一緒だっていうのは幸せなことですよね。

笠井:何年もやってきてますけど、音楽的な相違っていうのは、そういえばないね。

神田:被ってるところは多いにしろ、それぞれちょっとずつは違ってるわけですよね。でもその自分と相手がずれてる部分も受け入れるというか、そのよさもわかってると思うんですよ。むしろ自分とほかの二人が被らない部分のほうが面白かったりするし。もちろん音楽を作る上ではお互いにズバズバ言いますけど。

笠井:全部受け入れる態勢なんですよ、常に。でも真ん中にあるのは"メロディがよくて歌詞がいい歌モノ"だっていう。その中心がズレなければいいんだと思う。

--その中心部分に対するジャッジは相当厳しいんじゃないですか?

笠井:それは厳しいと思います。

--曲を聴けばわかりますよ。

秋野:そうなんですよー。そう思ってくれる人がもっと増えて欲しいし、そこは欲張りたい。

--その上で、揺るぎないけどどこか寂しい歌声という武器もあるし。

神田:そう、どこか陰があるというか背負っているものがありますよね。淡々としてるのに、なんか出しちゃってるよねえ。

--たとえば「熱量」のような曲でも、もっとドラマティックにしようと思えばできるのに、敢えてそうしてない気がするんですよ。

秋野:表現方法が未熟っていうのもあるんですけど、ヘンなビブラートをかける気もしないし。ただ今後は歌の部分で、ちょっと格闘してみようかなとは思ってるんですけどね。

--普遍的であるというところも譲らないですよね。

秋野:今聴いてもらって、何年か後にまたその曲を思い出してくれたりするのが理想ですよねえ。

--それでもどこかズラしてる部分があるというか。普通なら「桜」で締めるところが・・・

笠井:そうはいかないぞと(笑)。

秋野:やっぱり最後は楽しく終わりたい人間たちなので。

神田:そういうインディーズ魂が出てしまうんですよ。

--それってインディーズ魂なんだ(笑)。それにしてもこのヴァリエーション豊かな曲たちは、一体どういうところから生まれてくるものなんですか。

秋野:詞と曲とアレンジが同時にイメージできることもありますけど、スタジオであーだこーだ言いながらバンドで練りあげていくことのほうが多いですね。僕が書いた曲で「どうしてもこのイメージでいきたい」っていうときは細かく伝えますけど。ただ2人に委ねて返ってきたものが、僕のイメージするものと全然違うこともよくあるんですけど、それはそれで「ま、いいか」と思っちゃったりするんですよね。そっちのほうが面白いときもあるし。無理に自分のイメージを押し付けるんではなく「それもアリ」ならオレはそれでいいと思ってるんです。

神田:そうなったら本人に訊きますね。「こういう感じに今なってるけど、元のイメージと比べてどう?」って。「ズレてるけどオッケー」ならそのままだし、「ズレてるからちょっと違うわ」だったら修正する感じで。

笠井:とりあえず全パターンやってみることも多いですね。自分はこっち、秋野はこっち、だったらとりあえず録ってみて、いい方を選ぶとか。そのほうが絶対いいものが出来ますからね。

秋野:時間はかかるんですけどねえ。

--うーん・・・バンドとして理想的なやり方だと思いますけどね。

秋野:「こうありたい!」っていう願いの元に始めたようなバンドなので。それは実践できてるかなあと。

神田:インディーズ時代のガムシャラ感を忘れたくないから、敢えて辛いことにもチャレンジしようとも思ってるんですけど。

笠井:でも、全然辛くなかったりするんですけどね。

--昔の感覚を忘れたくないっていうのは、移籍当初から言ってましたよねえ。

秋野:1年間いろいろやってきましたけど、でも自分たちの中であの頃の気持ちがまだ抜けてないところがあるんですよ。受け入れればいいものを、ちょっと心の中で反発してみたりとか(笑)。それって自分たちがやってきたことと違う流れが入ってきたからだと思うし、そういう見え方じゃない見せ方をしたいって思うこともあるし・・・いろんな見せ方があると思いますしね。「鶴はどういう見せ方をしてきたからここまで続けてこれたんだろう」って考えたら、やっぱりインディーズ時代にやってきたことが間違ってなかったからだと思うんですね。だからその頃の感覚は大事にしていたいんですよ、これからも。だから「鶴をずっと応援してくれてきてるお客さんはどう思うんだろう?」「新しく鶴を好きになってくれるお客さんはどう受け取ってくれるんだろう?」っていうのを全部ミックスしたいんですよね。どちらかに寄るってことはしたくないし、いいメジャー感の出し方と、いいインディーズ感の出し方を常に考えていけたらと、今だに思ってるんです。

--このアルバムはそれらを総括したものになっていると。

秋野:そうですね。アルバムにはいろんな鶴を入れられたし、もっと鶴のことをわかってもらえると思うし。ライヴでパンチのある曲、ライヴで強い曲もアルバムには入っているので、その辺りも含めて、より多くの人にも聴いてもらえればいいなと。

神田:元々、何かにカテゴライズしないで始めたバンドなので。「別にそこはどっちでもいいです」みたいな(笑)。周りがそう言うなら「じゃあいいです、それで」みたいな感じで(笑)。

笠井:昨日まさにそんな話をしてました。この見た目でイロモノだと思われるかもしれないし、いろんな評価を受けるだろうねって。でも僕自身は、鶴をどう思うかはその人次第だと思ってるんです。「周りの人が決めてくれていいんじゃない?」って。「オレたちはいいものを作っていいものを出して、好きな格好でやりたいことをやるだけでいいんじゃないの?」っていう、そんな話を。

--そうですね。いい作品であるということが最大の強みですからね。

笠井:そこは若干自信がありますからね。

秋野:そうだね。

--まず沢山の人にアルバム聴いてもらって、ツアーも是非観てもらいたいですね。今回はハコも大きめですし。

秋野:ねえ、もうどうしましょう(笑)。

神田:なるようになると思います。なるようにする!

<インタビュー/文:篠原美江>


 
 

 


『情熱ツアー 2009春
~ちょっと気取ってみませんか?~』

4/16(木) 仙台MACANA
4/18(土) 札幌COLONY
4/23(木) 赤坂BLITZ
4/25(土) 名古屋Electric Lady Land
4/27(月) 広島NAMIKI JUNCTION
4/28(火) 福岡DRUM-Be1
4/30(木) なんばHatch


『LOTS LIVE on the AIR vol.4』
5/13(水) 新潟LOTS
【出演】
鶴 / the chef cooks me / STAN / UNISON SQUARE GARDEN