ソウルメイト独り言

バンド鶴がとても好き

【MUSICSHELF】インタビュー/2010年7月

MUSICSHELF掲載

 

f:id:waiwai_soulmate:20180508180451p:plain

 


MUSICSHELFでの好きな記事でしたが2018年3月31日にサイトが閉鎖されてしまいました。もったいないのでここに掲載させてもらおうと思います。
http://musicshelf.jp/

 

 

2010年7月26日 15:00


鶴 Special Interview
ウキウキアフロックバンドを標榜するロック・バンド、鶴の新作が完成した。歳月が経っても風化しない心に長く残る音楽という不変の志はそのままに、トリオ・アンサンブルの強さに力点をおいた演奏と叙景的かつ叙情的なリリックに磨きをかけ、大きく胸を張って“鶴流”を貫いた『期待CD』。使い捨ての音楽が蔓延するシーンにあって、ジワリジワリとその存在を確かなものにしてゆく。そんな期待を込めずにはいられない。
またひとつスタンダードとなる作品を生み出した3人のメンバーに話を訊いた。器用に見えて不器用、謙虚だが欲張りな愛すべきそのキャラクターが、“泣いて笑って踊って震える”その音楽と鮮やかにリンクしていることがわかってもらえるだろう。

 

-- 相変わらずライヴ三昧の中、制作された1年4ヶ月ぶりとなるニューアルバム・・・今度は何色?

秋野:緑です!

神田:その質問は正しいですね。デザインがどうこうじゃない、何色?っていう(笑)。

-- 鶴のアルバムは、もはやシリーズ化していますからね(笑)。『浪漫』『素敵』『情熱』、そして今回は『期待CD』。

秋野:そうです!前向きな言葉でいいなって。僕らの今までのタイトルって、形にはできないんだけど、どこかポジティヴなものだったり、大事にしたいものだったり・・・アルバムタイトルを付けるときはいつもそういう言葉を自然と探してるんだと思うんですね。

神田:みんなの期待も受け止める、その期待に応えるっていう意味もあるし、僕らも鶴に対して期待したいし、みんながこのCDを聴いてくれたらいいなあって期待したいし。この1枚にいろんな期待を込めてるんですよ。

-- 今回「鶴は何か引き受けたな」っていう印象があるんですよ。

笠井:うん、背負ってますね。

-- これまでの鶴の真骨頂といえば、男女の恋愛をモチーフにした曲だったと思うんですけど、もはやそれに留まらないというか。

秋野:なんていうんですかね、みんながもってる何かを突き動かそうとする曲は増えてると思いますね。今の鶴はそういうモードというか、もっと強い思いを今まで以上にもっていないといけないんじゃないかなっていう思いもあるし、自然とこういう方向にシフトしてるんだと思うんですけどね。

-- 前作の「情熱」という曲で出た芽が育ってるというか。LOVEに対してLIFEの割合が増えてきたなあと。

神田:なるほど。今まではどちらかというと自分たちのことを考えてたというか。今も俺らのやりたいことをやる、っていうのはもちろんなんですけど、最近はライヴに来てくれるお客さんのこと、CDを聴いてくれる人たちのこと、そういった自分たち以外のことも考えるようになったのは確かですね。

-- 元々鶴の詞には平易な言葉が使われていますが、よりストレートに響く表現になってきてますね。

秋野:自分では意識して言葉を選んだつもりはなくて、本当に真っ直ぐ書いただけなんですけど。今の詞のモチーフになっているのは、自分たちの置かれている環境と自分自身の気持ちですかね。僕、イメージだけで自分の知らない世界を描くってことができないので。もちろん自分の体験が基になっていますけど、体験してないにしろ「俺がこうだったら、こう思うけどな」っていうのがないと詞にはならないんですよ。でもどうなんだろう・・・やっぱりストレートになってきてるんですかね。

-- 先ほど話しに出た「背負う」ではないですけど、なんだかおかしなことになってる世の中を「俺たちが引っ張っていくんだ」っていう思いはあったりしますか。

秋野:ああ・・・たとえば「アンバランス」みたいな曲ですよね。でもどちらかというと自分は時代の最先端から取り残されてる側の人間だと思ってるんですよ。アナログタイプなんです、常に思考回路が(笑)。そういう視点から見たらこういう詞になるっていう、そういうことなんですけどね。別に皮肉りたいわけじゃなくて、でも俺が育ってきた環境とか感情とかそういう感覚から見たら「それって大丈夫かしら?」って思うんですよ。もしかしたら10代の人には「何言ってんだ?この人」って思われるかもしれないんですけど。今の若い人たち若い人たちなりの感覚で生活してるわけですからね。でも「人と人との直接的な繋がりは大事だろ」っていうのは、絶対どの世代にも共通するものだと思うんですよ。それを僕らの感覚で歌にしたらこうなりました、っていうことなんですよね。

-- なるほど。

秋野:たとえば僕らと同世代、僕らよりも上の世代、どんな世代の方でも僕らの音楽が響いてくれるのは嬉しいんですけど、逆にこれからの時代を作っていくティーン・エイジャーに鶴はどう受け入れられるんだろうっていうのは考えたりはしますけどね。かといってね、若い人にウケようとして流行りのことをやろうとも思わないんですけど。

神田:でも自分たちもまだまだオッサンを気取るほど歳を重ねてるわけでもないし、人に何かを教えられるような経験もないし。まだこれからの時代を作っていく世代に俺たちも入ってると思うので、そんなに大人ぶらなくてもいいじゃないって(笑)。ただやっぱり僕らは僕らが発してるメッセージがいいんだと思ってやってるわけだから、何もブレることなく自信もってやってますよ。今の10代があと5年くらいしたら「ああ、鶴の曲いいね」って言ってくれるかもしれないし。そのための『期待CD』でもあるんですよね。鶴のお客さんって年齢層が幅広くて親子で聴いてくれてる人もいて。そのお子さん、彼ら彼女らが成長した頃に「小さい頃から鶴聴いてました」みたいなことになったらね、そこでまた繋がっていくし、広がっていくと思うので。

-- 幅広い世代から支持されるというのは鶴の強みですもんね。とはいえ笠井さんの詞はグッと目線を下げている印象があって。

笠井:あ、まったくそんな気はないです(笑)。「小さくても世界は変わってる」もそうなんですけど、今現在の鶴の数少ない人生ソングのひとつですね。敢えて書かないようにしてたのではなくて、書けないんです。説教臭いこと言えないんですよ。だって僕まだ28だし、ロクな経験積んでないですからね。でもこの詞は僕のこれまでの短い人生の中でとりあえず出た結論だったんですよ。「これが自信をもって言える答えのひとつだよ」って思えたから書けた詞なんですね。うまく言えないけど、実際、僕はその答えを出して今までやってきたし、誰かが迷ってるときにこんな答えがあったらいいなと思って。

神田:どんくん(笠井)は分析して書いてる、誰にでも伝わる。あっつい(秋野)は感覚で書いてる、響く人にはドーンと響く・・・って感じですかねえ。

笠井:そうなのかなあ(笑)。でも俺、そこはまったく考えてないんだよ。

秋野:でも「小さくても世界は変わってる」の詞をもってきたときは、「きたな?笠井」と思って。今まで詞を書いてこないタイプだったからね。「ああ、この表現いいなあ」と思いますよね、自分が歌ってても。

笠井:ありがとう(笑)。あっついの詞は、なんでもない言葉がメロディに乗った瞬間に半端ない力を放つんですよ。なんなんでしょうねえ・・・多分、ヴォーカリストにしか書けない歌詞なんだと思いますね。羨ましいです、そこは。俺には真似できない。

神田:メロディと歌が一体になってこそっていうのが、あっつぃにはわかってるんじゃない?両方があって初めて説得力を生むっていうのが備わってるというかね。このメロディのここはキュンとするから、ここにキュンとする言葉を乗せる、みたいな。だからそこで一気にパワーが増すんだよね。

-- なるほど。タイプの違う作詞家が二人いることによって、より表現の幅が広がった。でもどちらも鶴の言葉だよっていう。

秋野:おお!そうだ、そうですよね!

--(笑)。メジャー・ファースト作でもある前作は、変わりたくない部分と変わっていく部分もひっくるめて「これが今の鶴です」っていう作品だったと思うんですけど、今回はどうですか。

秋野:今回もだいぶ古い曲も入ってるし、以前からライヴで演ってる曲もあるし。要はね、なるべくたくさん曲を入れたいんですよ!本当はもっとね、もう二枚組でもいいんじゃないか!くらいの感覚で(笑)。

神田:もうCDの容量が満タンです(笑)。

-- インタールード的なものを挟んだ、アルバムらしい構成になっていますね。

秋野:まず曲だけ先に出揃って、もしかしたらそれだけでもOKだったのかもしれないですけど、アルバムとしてもっとやりたい放題やれるって思ったんですよね。それぞれの曲自体には緊張感もある。言いたいことも詰め込んだ。じゃあ、その逆のイッちゃった感じというか(笑)、振り切った、くだらない鶴っていうのもアルバムにあっていいんじゃないかって。普段ライヴではそういう鶴を見せてるわけですからね。それでインタールード的なものをいくつか作って・・・まあ、こんなはずじゃなかったっていうものもあるんですけど(笑)。最初はもっとカッコいい、たとえばインストなんかもあってもいいんじゃないかと思ってたんですね。でもいざ録ってみたら傑作がいっぱい出来てしまったので(笑)。

神田:構成は考えましたけど、ここしかないってところにジャストな曲が入ったと思いますね、いい並びだと思います。

秋野:そうだね。前半の流れがね、いいんですよー。

笠井:いや、後半の流れもいいんだよ。

-- 要は全部いい、と(笑)。改めて鶴は王道のロック・バンドだなあっていうのは今回、特に思いましたよね。

秋野:おお~。まあ特に意識するといえば、3人でやるってことだけなんですけどね。変にこだわることもなく、この形でずっとやってきたので。たとえばタイアップのお話をいただいても「鶴でやります。鶴の形でやらせていただきます」っていうのはありますね。曲作りにしろ、ライヴにしろ、鶴で何かをやるんだったら「“鶴流”でいこうよ」っていう。そういう団結力のようなものは強くなってると思いますね。今回は3人の音っていうのをさらに極めてみました。今までより3人の存在感をドーンと感じてもらえると思います。

神田:今までに比べて、なにせドラムがデカイです(笑)。いろいろ試行錯誤してきて今回出た結論としては、僕らはドラムがドンしている音が好きだと。リズムがしっかりあって、ドラム、ベース、ギターがドンドンドーンとね、3人でやってますよ!っていう感じを出したかったんですよ。

秋野:いろんな音楽のおいしいエッセンスを吸収するところはしてるんですけど、でもすごくマニアックなことをやりたいわけではないし。やっぱりまだまだ狭いよね、もっともっと幅を広げないといけないとも思うし。ただね、バンドでやってるんだからそれ以上でもそれ以下でもないというかね。生バンドであることがこだわりですからね、鶴のね。

-- もうひとつのこだわりとして、どうしても人を楽しませようとしてしまうところもありますよね。

秋野:そう、カッコよく仕上げようと思えば仕上がっちゃうわけですよ・・・でもそれが性ですねえ、笑い飛ばしちゃえ!みたいな。でも今までだったら、それがただの照れ隠しに見えちゃってたのかもしれないなって思うんですよ。でも今は、言いたいことはここにあるんだからズバッと言えばいいじゃん、っていう。でもそれを包み隠すためのお笑いじゃなくて、元々くだらない要素もあるんだから、それも出せばいいじゃんっていう、そういうモードなんですよ。そのメリハリがアルバムに出せたなって思ってるんです。

-- まず面白いバンドって形容されることも多いのではないですか。

笠井:まあ、それも含めての鶴ですからねえ。

秋野:でも後からボディー・ブローのように効いてくれたらいいなっていうかね、「曲をちゃんと聴いたらすげえよくない?この人たち」っていうのも、それも嬉しいんですよ。“いい曲”っていうのは時間が経っても、後々聴いても「やっぱりいいな」って思ってもらえると信じてるので。一発でいいなと思ってもらえるのもひとつですし、長い間聴いているうちにいいなって思ってもらえるのもまたひとつだと思いますしね。

-- 前作はそれこそシングル曲が多くて、どうアルバムとしてまとめようか悩んだっていう話もありましたけど。

神田:ですね。でも今回はアルバムを作り始める段階から、そこは常に意識してたので。そこはうまくいったと思います。

秋野:シングル曲を置く位置、バランスが見事だなあと自分で思ってるんです(笑)。アルバム曲の中にシングル曲が入っても全然浮かない、アルバム曲がシングルを食っちゃうくらいの勢いがあるというかね。オイシイところが全部入りましたよね。

笠井:オイシイところだけしかないんですよ(笑)。

秋野:前作もオイシイんです。いつもオイシイんです。常にそうありたいんですよね、鶴のアルバムって。「どのアルバムもいいよね」って言われたいんです。たとえば長くやってると考えも変わってくるから作品によってどんどん方向性が変わっていくアーティストもいると思うんですよ。でも鶴はやってることは基本、そんなに変わってないと思ってるんで。常に「バンドでいい曲を歌うんだ」っていうのを続けてきて、その上でアルバムでは毎回いろんな方向性に富んだものを作るんだっていう意識だけがあるというかね。

-- とかくバンドを表現するときに“進化”という言葉が使われますが、鶴というバンドの進化ってどんなものなんでしょうね。

秋野:うーん・・・「生まれ変わりたい!」とか思ってないですからねえ、うちのバンド。むしろ「今のこの感覚がウチは大事だよ!」っていう。もしかしたらこの先、一皮も二皮も剥けてきたりしたらまた変わるのかもしれないけど、この“垢抜けきらない”感じも大事な要素だと思うんですよ。その分、その幹が太くなっていって説得力が増していると思うんですよね。歌いたいことが、より前に出てきてる。それを進化だとするならそういうことなのかもしれないです。

-- 「変わらない」ことを恐れてないんですね。

秋野:そうですね(笑)言われてみればそうだ。それぞれの成長として変わっていかなきゃいけない部分はあっても、このバンドのスタイルは変わらないということですね。妙に頑固なところがあって、どちらかというと変わることを恐れてきたかもしれないですね。

-- 確かに頑固な人たちではあるかも(笑)。では『期待CD』を完成させた今、今後の鶴にどんなことを期待します?

秋野:鶴というバンドは何が持ち味で、お客さんは何を求めてライヴに来てくれるのか、とかよく考えるんですけど・・・やっぱり曲に共感してもらって、ライヴでは一緒にワイワイできて嫌なことを忘れられるっていうのが鶴の強みだと思ってるので、そこにもっと磨きをかけていきたいですね。もっともっと今まで以上にオンリー・ワンの存在になることが期待です、僕らの。

神田:鶴ってリーダー的な存在も特にいないし、一応、あっついが見かけではそうなってますけど、実はそうじゃなくて(笑)。だから3人でギリギリ支えあってこれまでやってきたところもあるんですよ。それはいいところなのでその感じをこれからも残しつつ、個人個人がもっと成長したいなと思いますね。音楽的にも人間的にもね。そうなったときに鶴っていうバンドがもっとブッとくなるんじゃないかと思うんですね。だからまず自分ですよね。自分自身が成長したいです、ベーシストとしても人間としても。カッコいい大人になりたいじゃないですか。僕はそこに期待したいです。

笠井:ワクワクされていたいです。いろんな人に「次はどういうことをやってくれるんだろう」って思われていたいですね。「鶴はこんな曲も作るんだ」「鶴はこんなライヴをやるんだ」って、予想を裏切るというか上回るというか、そんなバンドになりたいですね。

 
<インタビュー・文 / 篠原美江>

 

 

 

 

「期待ツアー2010
    ~今夜はあなたに〇〇〇~」
10/11(月・祝) 札幌COLONY
10/16(土) 高松DIME
10/17(日) 広島CAVE BE
10/23(土) 仙台 CLUB JUNK BOX
10/24(日) 赤坂BLITZ
10/31(日) 新潟CLUB RIVERST
11/3(水・祝) 大阪なんばHatch
11/7(日) 福岡DRUM Be-1
11/13(土) 名古屋CLUB DIAMOND HALL